プリスクールの注目教育メソッド「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは? 子ども一人ひとりの発想や個性を尊重!

プリスクールは英語で保育をする施設

世界で活躍できる子どもを育てたいという保護者のニーズが高まる中、英語で保育するプリスクールの人気が上昇中。プリスクールは、モンテッソーリ教育や英語イマージョン教育など、様々な教育メソッドが魅力の1つです。今回は、レッジョ・エミリア・アプローチを紹介します。

レッジョ・エミリア・アプローチとは?

レッジョ・エミリア・アプローチは、イタリア北部にあるレッジョ・エミリアという小さな街で生まれた教育的アプローチです。その始まりは第二次世界大戦直後、レッジョ・エミリア市にある小さな村で、保護者や協力者がお金を出し合って作った小さな学校でした。そこに教育学や心理学を学んだローリス・マラグッツィ氏が加わり、独自の教育的アプローチを展開。マラグッツィ氏は、子ども・保護者・保育者がそれぞれの立場から、教育の共同体に「参加」することを重要な柱としました。このアプローチは、保育者が子どもを教え導くのではなく、子ども・保護者・保育者の三者が同列で、協同して活動に参加することを前提としています。マラグッツィ氏は、子どもも「1人の市民」として尊重しました。

そして1991年に「Newsweek」誌で、先進的な乳幼児教育を行っている学校としてレッジョ・エミリア市にあるディアーナ幼児学校(Diana School)が取り上げられたことがきっかけで、この教育的アプローチが世界中から注目されるようになりました。それ以来、多くの教育者がスタディツアーでこの街を訪れ、全世界へと広がっています。

レッジョ・エミリア・アプローチの特徴

レッジョ・エミリア市にある幼児施設には、保育士のほかに、ペダゴジスタ(教育専門家)アトリエリスタ(芸術専門家)が所属しています。大学で教育学を専攻したペダゴジスタは教育の実践を教育研究と結びつけ、大学で芸術を専攻したアトリエリスタは子どもたちの創造的な活動をサポート。アトリエリスタはアートを教えるのではなく、紙や絵の具をはじめ、木の葉や木の実、砂、石など、様々な素材を活用したアトリエ活動を通して、子どもの潜在的な可能性を最大限に引き出していきます。施設内にはアトリエがありますが、造形を行うためだけの場所ではありません。探究活動を行ったり、様々な人間関係を展開させる場所でもあるのです。

レッジョ・エミリア・アプローチには、定められたカリキュラムや決められた時間割はありません。子どもたちの興味や疑問、そして話し合いの中から教育プロジェクトが生まれるのです。グループで行うプロジェクトへの参加、そこから得られるものを共有することに重きが置かれています。プロジェクト活動の多くは4~5人のグループで行われ、1つのテーマを長期にわたって取り組むことが特徴です。プロジェクト活動を通して、子どもたちは自律性や協同性を育みます。子どもたちの活動を記録するドキュメンテーションも、このアプローチの大きな特徴です。記録された写真や動画などは、子どもたち自身が活動を振り返り、次の学びに活かすために使われます。

レッジョ・エミリア・アプローチの理念

レッジョ・エミリア市以外の場所でこのアプローチを実践する場合は、実践する国や地域の文化に合わせて、その「理念」を取り入れた教育をすることになります。レッジョ・エミリア・アプローチの理念を集約したものが、マラグッツィ氏の詩「子どもたちの100の言葉」です。詩には、「子どもには100の言葉がある。けれども、そのうちの99は奪われてしまう。学校や文化が頭と体をばらばらにしてしまう」という一節があります。「100の言葉」が意味しているのは、文字通りの言葉ではなく、表情やしぐさ、手の動き、歌声、絵による表現など、子どもたちが持つ無限の可能性です。レッジョ・エミリア・アプローチは、大人の考えや価値観を押しつけず、子どもたちが語ることや子どもたちの表現を大切にしています。子どもたちが持つ可能性を失わせないように、一人ひとりの発想や個性を尊重する教育メソッドなのです。

日本でも広がるレッジョ・エミリア・アプローチ

近年は、日本でもプリスクールやインターナショナルスクール、保育園、幼稚園などで、レッジョ・エミリア・アプローチが取り入れられるようになりました。教育施設以外にも広がりを見せ、2022年12月にはレッジョ・エミリア・アプローチを採用したホテル「星野リゾート リゾナーレ大阪」が誕生。館内には、アトリエリスタが探求のパートナーとして子どもたちの表現活動をサポートする、アトリエが設けられています。

・星野リゾート リゾナーレ大阪
https://risonare.com/osaka/

香川県高松市では、レッジョ・エミリア・アプローチから着想を得て、2009年に「高松市芸術士派遣事業」をスタートさせました。全国で初めて、自治体を挙げて保育施設へ芸術士を派遣する取り組みを進めています。画家や彫刻家、ダンサー、声楽家といった様々な分野のアーティストが保育施設に出向いて、子どもたちの感性や創造力を育むという取り組みです。スタートから数年は参加施設が30か所程度でしたが、2021年度には香川県内の約150か所に芸術士が派遣されており、徳島県や愛媛県などにも広がっています。

レッジョ・エミリア・アプローチは、国内でも非常に注目度が高まっている教育メソッドです。

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